植物界のキーパーソンにスポットを当ててインタビューする企画、第4回目。
今回は植物関連のBlogとしては日本でも有数のアクセス数を誇るであろう「コタブロ日記」の管理者のコタブロさんです。
多肉植物だけでは無く、ソテツやヤシなど多くの魅力的な植物に対して独自のアプローチをするコタブロさん。
そのBlogを見てもらえればとてつもないコレクターであり探求者であることは一目瞭然。
いち趣味家でありながら長く植物に携わることで培った技術をBlogでも紹介しているので是非多くの人に見て欲しい。
コタブロ日記
シャイなコタブロさんは顔出しNGですがその代わりに素敵なお庭を…貴重なキフォステンマ・セイチアナがこんなに…羨ましいです。。
ーコタブロさんは何者ですか?(率直)
職業は内緒ですが、みなさんと同じように普通に働いているただの植物や動物が好きな中年オヤジです。
植物歴は30年くらいなので年齢は想像にお任せします 笑。
ー植物を始めたきっかけは?
子供の頃熱帯魚好きな友人がいて、その人が植物もやり始めて…僕もそれを見ていてやってみたくなりました。
近くに有名なサカタのタネさんがあったので自転車で良く行きました。
最近お邪魔していないので様子が分かりませんが、その当時は珍しい植物もたくさんあって自転車で行って見て帰ってくる…みたいなことを繰り返すようになってました。
確か最初に買った多肉植物はそのサカタさんで購入したユーフォルビア・オベサだったと記憶しています。
コレクションの本当にごく僅かなお見せ出来るもの…目を懲らすととんでもないものが幾つも混じっていますね。
ーとても貴重な植物をたくさんお持ちですが何か秘訣があるのでしょうか?
欲しいものができるとすぐに行動を起こします!!
昔はPCなど持っていなかったので、園芸店まわりや趣味家訪問など、とにかく足を運んで情報を入手していました。
あとは熱意と執念ですかね。
これが欲しいと念じていると、不思議とそこに行きつくための最短距離の情報が飛び込んでくるものです。
そのようにしていろいろな植物を入手してきました。
その昔に手に入れたというアデニア・エピゲア。今市場に出回っているものが本物かどうかは不明ですが、このエピゲアはTRUEエピゲア、本エピゲアなどと呼ばれておりこのエピゲアこそが本物だ、という方も多くいます。希少性は勿論ですが、グリーンの樹皮の上に半透明の砂糖菓子がコーティングされているようでとても神秘的です。マダガスカルの北部、赤道の近くに自生するそうで寒さにとても弱いそうです。
ー昔の多肉にまつわる面白い話を教えてもらえませんか?
今から15年ほど前にカクタス界の大御所の方々が集まってビッグバザールの前身にあたるような会が行われていました。
それぞれの大御所の方のところに集まっての品評会など、当然ビッグバザールほど人は集まっていませんでしたが異様なほどの熱気は今の多肉ブームよりもあったように思います。
そしてとても厳しい方が今よりもずっと多かったと思います。
例えば生産者や趣味家さんのところにお邪魔して勝手に鉢を持ち上げようものならその場で怒鳴られて追い返されるなんてことも。
その鉢の中で根がどうなっているか、底穴から出てその下のどこかに根を張っているものをちぎったりしたらどうするんだ?という事を言われ怒られた方もいたそうです。
昔の方は自分が作った植物に対して他人がどう接するかに対して今よりもずっと厳しいところがあったように思います。
最近植物をはじめた人達もそういう所を意識すると良いかもしれませんね。
ー他にも何か面白い情報があれば是非!!
それでは皆さんの好きなマダガスカルのパキポディウム・グラキリスやオペルクリカリア・パキプスのお話しを少々…
20年くらい前はとにかく今よりもずっと高額で希少でした。すごく小さな形も良くないグラキリスがとんでもない価格だったり。
当時パキプスは日本にほとんどなくて…これはKカクタスさんが3本だけ所有していたものの一つでした。
どうしても欲しくて…何度も何度も通い詰めてずっとお願いし続けてようやく売ってもらいました。価格も今よりもずっと高価でした。
現在は国内のいくつかの業者さまのお陰で安定して流通していますね。良いか悪いかは別として。
作り込まれた植物たち、特にウィンゾリーはお饅頭のようでとても可愛いですね。
ー何故そのように形の良い植物を作ることができるのでしょうか?
特別なことは何もしていません。
夏型は夏は梅雨の時期も全て雨ざらしですし…ただ私が住んでいる地域はとても風通しが良い地域で、喘息の人なども空気が良いということで引っ越して来られることも多いそうです。
そう考えると植物を形良く作るには風というファクターがとても重要に思います。
コタブロさんの撮影されたタイの風景、シルバーのヤシがこれでもかとばかりに生えています。
ーコタブロさんと言えばタイというイメージがありますが、何故そんなに何度も行かれるんですか?
最初は植物を買いに行くために行っていたのですが、何度も行くにしたがって考え方が変わるようになって…
タイは植物の王国なのでそこには日本では見ることができないスケールの大きく美しい植物がそれこそそこら中に沢山あります。
今は買いに行くと言うよりも見に行っている…という方がしっくりきます。
私は植物以外にも、熱帯魚・昆虫や芸術・雑貨、寺院や歴史(写真撮影)、食べ物(特にスイーツ)、アクティビティなどなど・・・。
色々なものに興味があるんです。
タイという国はそれらのすべてがバランスよく存在する、とても魅力あふれる国と言えるでしょう。
それに何と言っても、バンコクは多国籍の人が雑多に集まる賑やかでエキゾチックな雰囲気が魅力的です。
反面、タイの商店街は私が子供のころに見た【活気に満ちあふれた昭和の日本】に似た雰囲気も感じられ、どこかノスタルジックな世界観が感じられるのも魅力の一つです。
あと何年かしたら以前の中国のように近代化が進んで、この雑多な雰囲気が消えて小奇麗な街になってしまいそうな気がして、今のうちに出来るだけ多くタイに行って、この雰囲気を心に刻み込んでおきたいと考えているんです。
芸術品のようなフォークイエリア・ファシクラータ、基本雨ざらしだそうです。
ー今お気に入りの植物を教えてもらえますか?
変な話なんですけど、今はとにかく栽培しやすくて丈夫な植物が好きです。
そうやって考えると見た目が好きで丈夫な植物…フォークイエリア・ファシクラータかもしれませんね。
今は増やしていないので昔買ったものがほぼ全てですが、長野のHカクタスさんで購入したこのファシクラータは宝物です。
スクーターで行って持ち帰った苦労もあって思い出も強いです(コタブロさんは神奈川県民です 笑)
あとはブラヘア・アルマータなどのシルバーヤシ、耐寒性もあって丈夫で美しい。言うこと無しです。
信じられない程白く輝くブラヘア・アルマータ、羨ましすぎるお庭です。
ー何か生育する際のアドバイスなどありますか?
とにかく風ですね。風通しのいいところで生育する。
ほとんどの植物は風を感じることで締まって美しく育ちます。ハオルチアの栽培に関してもよく触ってあげたりする人がいますが、触れる事による刺激が植物を形良く作るんでしょうね。
あとはとりあえず頭でっかちにならないことが大切です。
学者肌の方やベテラン栽培家の方には怒られてしまいそうですが、植物栽培に関して現地の気候や土壌うんぬんを気にするよりも、日本の風土や植物に合わせて柔軟に培養土や栽培環境を作ってあげることが肝心だと考えます。
雑記
コタブロさんは私たちTOKYが右も左も分からない時からずっと助けてくれている恩人でもありお友だちです。
タイにご一緒させてもらったこともありますが、とにかくパワフルで行動的!言葉も通じないのに物怖じしない強いハートの持ち主です。
そしてとても紳士的で温和な性格…のようにも見えますがお若い頃のお話しを聞くとなかなかスパイシーな人生を送られてきたんだなと思います 笑。
とにかく私たちが今まで見た人物の中でも究極の凝り性のように思います。
グラキリス型のライトも全て手作り、しかも売り物ではない自分のために作ったスペシャルな一品!普通の人には絶対に無理だと思います。
その昔コタブロさんがデザインして制作したSUZUKI GSX-R1100W。実はバイク好きなTOKYスタッフ15年ほど前にバイク雑誌でこのバイクを拝見し感動した覚えがあります。不思議な出会いです。(FOR SALEらしいので興味がある方は連絡してみてもいいかも?)