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TOKY Staff Blog
ショップからのお知らせや日々の新たな発見などの情報を発信します

インタビュー

Interview11 / CACTUS GREENさん

2019.09.28

植物界のキーパーソンにスポットを当ててインタビューする企画、第11回目。
今回は以前より植物の仕入れや書籍「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」で撮影の協力をいただいたCACTUS GREEN代表の沼尾嘉哉さんにお話を伺いました。近日中にリリース予定の新たな楽鉢、RAKUも同氏と共同で制作しておりますのでそちらの開発秘話などもご紹介できればと思います。

 

 

沼尾嘉哉さん
栃木県にてエキゾチックプランツの輸入、輸出、生産を行うプロの生産者。近年はマダガスカル植物の輸入、特にCITES付随する植物を附属書付きで輸入されていることで話題になりました。サボテンのロフォフォラの実生の第一人者でもある。
CACTUS GREEN

 

 

沼尾氏の温室で話を伺いました。

 

 

 

ーいつ頃から今の商売を始めたんですか?

 

現在のカタチになってから10年くらいたちますね、今の珍奇植物のブームが始まる少し以前から現在のCACTUS GREENを立ち上げた感じになります。

 

それ以前はネット系の会社でエンジニアとして働いていました。

 

 

ーそんな中、園芸の世界に。何かきっかけがあったんでですか?

 

勤務していた会社が東京の恵比寿にあったのですがその近くに羽兼さんが経営している植物のお店があったんです。

 

もともと植物は好きだったのですが、そこで初めてしっかりと栽培されている植物が売られている場面に出会って「あぁ、これは素晴らしいな」と。

 

 

 

ーあの羽兼さんが!?初めて聞きました。

 

20年くらい前かなぁ、先駆けだったんですよ、羽兼さん早すぎましたね 笑。

 

TOKYさんができる以前にすでに陶器の鉢に自分で育てられたロフォフォラなどを植え込んで販売していましたね。

 

そこで鉢と植物なんかをよく買っていて(主にサボテン)自分で育ててみるわけだけど、全然上手くいかなくて枯らしてたんですよね。

 

室内でだめで、じゃあベランダで、みたいなことをやってたんだけどそれでもやっぱり綺麗に育たなくて。

 

で、上手く育てたいからサボテンの会みたいな所に出入りするようになって…そこがきっかけなのかなぁ。

 

 

DSC04055ハウスの休憩スペースにはAV機器が完備されており氏の好きなフィギアなどが飾られていた。

 

 

ー初めから上手い人なんていないですよね、安心しました。

 

そうそう。
で、その頃、IT系の会社の激務で精神的にかなりダメージが大きくなっていて 笑。

 

元々植物が好きだったし癒やされるから「植物仕事にしたいな」って思い出したのもこの頃。

 

で、準備の為にサボテンの会に出入りし始めて、そこで話しを聞いてると「綺麗なサボテンを育てるには温室が必要なんだな」と初めて気がついたり 笑。

 

 

 

ー今となっては考えられないですね。

 

そこで先輩たちに色々なことを教えてもらいましたね。

 

面白いのが先輩方に色々な趣味家のところに連れて行ってもらって。
ある方の温室に連れて行ってもらって「どこかで見たことあるな」って思ってたらそれがあの羽兼さんだったってのに後で気がついたり 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーで、そこから本格的な商売に変わっていったと。

 

当時はサボテンのブームの一時代が終わって、業界自体も落ち着いていました。

 

そんな中で趣味家さんの所に通ってサボテンを仕入れしたり、自分で実生を始めていました。

 

その後に起こる今の爆発的なブームとのちょうど狭間で始めることができたので幸運だったかもしれませんね。

 

 

DSC04058整然と並ぶマダガスカル植物、撮影時は植物が出荷されれ在庫が少ない状況だったそうです、十分多かったですが。

 

 

ー生産をする傍らで植物の輸入も始めたんですか?。

 

そうですね、植物輸入も徐々に開始しました。
やはり輸入植物というのは会社を運営していく中で今も柱になっていますから。

 

ただ、そこは単純な輸入ではなくて、早い段階で物々交換が非常に重要だなということに気がついたんですね。

 

例えばマダガスカル植物を輸入する際に、現地のナーセリーの園主がサボテンを欲しがっていたらそれを探してきて送ってあげる。

 

それを繰り返しているとお金のやりとりだけでは生まれない信用という大きなアイテムが手にできるんですね。

 

なので自然と植物の輸出もできるようになっていくんです、CITESが必要な植物は当然それを取得して送りますし。

 

そういうことを地道に続けることで他の人では手にすることが出来ないような植物を手にできるようになったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー沼尾さんの理想とする植物輸入輸出においてはそういうコミュニティを作ることが重要なんですね。

 

そう、それが最も大事です。

 

先日もカリフォルニアの有名なナーセリーの園主から連絡があって「こういう植物を探しているから探してくれないか?」と言われて。

 

調べてみたら見つかったので「あぁ、これ送れるな」となるわけで。

 

海外のそういう植物フリークみたいな人たちはかなり崇高な考え方を持っていて。

 

お金でやってる部分は勿論あるけれどお金よりも大事なものがあることは彼らのほうがずっと意識が強いです。

 

そういうことにもいち早く気づいて彼らの思いを実現してあげることで信頼関係が生まれるんです。

 

 

DSC04069オペルクリカリア・パキプスの盆栽株、扁平になるように作り込まれていました。

 

 

ー物々交換は人間の古くからあるコミニケーションですもんね。

 

コミニティができて、信用が生まれて、それが広がって、素晴らしいカタチとして返ってくる。

 

その根っこには自分も含めて、皆植物が好きという気持ちがあるから純粋にこの仕事を楽しめている部分でもありますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーそれらのことって真似したらできそうな気もするんだけどどうなんでしょ?。

 

今は難しいんじゃないのかな、結局それを始める時に彼らが欲するような植物をどれだけ持っているかってことだと思うんです。

 

僕が始めたときはブームとブームの狭間だったので植物を集めやすかった。

 

ブームに関係なく植物を育てている人たちから、それこそ名品と呼ばれるような植物を必死に買い集めましたしそれが可能だったちょうど良い時代だったということですね。

 

 

DSC04059アガベ・ホリダの良型株がズラッと並んでいました。

 

 

ー輸入の話で、CACTUS GREENさんはCITES1の植物を附属書つきで輸入することで知られていますよね?。

 

それも先程の話と同じで、培ってきた人間関係があって初めてできたことです。

 

細かい技術的な話は企業秘密なのでできませんがそれなりに時間もかかります。

 

そして先でも言った、所有している植物が重要になってきますので真似しようと思ってもできないと思います。

 

 

美しい温室とパキポディウムたち。

 

 

CACTUS GREENさんは名前の通りやはりサボテンに重きを置いているんですよね?。

 

特にロフォフォラの実生はかなり力を入れています。

 

それこそInstagramなどで海外の著名な趣味家がアップしているロフォフォラを見るとそのほとんどが自分が実生したり仕入れたものですね 笑。

 

 

ーまぁそんなこんなで唐突にTOKYと鉢を作ることになりましたね。

 

TOKYさんの鉢も、今流行っているデザイン性の強い鉢も格好良くて好きなのですが、例えばうちの温室に置いた時良いって思いにくいんですよね

 

むしろ温室にマッチするような、それこそ楽鉢みたいにシンプルで古典的なものの方が映えるなって。

 

あとは埼玉カクタスクラブの長谷川さんに「楽鉢みたいのでもっと丈夫なの欲しい」って言われたのもあってTOKYさんに相談してみました。

 

 

ーようやく完成しましたが、ここに至るまでは本当に時間かかりましたね。

 

大変だったけど本当に良い鉢になったと思う。
こういう温室に並べて整然と自然に見えるって大事だと思うんですよね。

 

意匠的に、造形的に凝れは凝るほど不自然になると思うんです。

 

シンプルだけどRやエッジを突き詰めて誰も気が付かないけど結果として美しいって造形に惹かれます。

 

今回はそういう鉢に対する思いなど、TOKYさんとならではのプロダクトができたと思っていて、とても満足しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー最後に何か伝えたいことありますか?

 

歴史は繰り返しているってことはここ数年に始めた人たちにも知っておいてほしいなと思います。

 

その羽兼さんがお店やってたときだって今で言う黒王丸なんかのコピアポアがブームになってたことありましたし。

 

僕は2回経験してるんですよね、植物ブーム。

 

でも今回のブームはネットやSNSなんかの影響で広がるスピードが早いですね、そして長く続いているなと思います。

 

このブームが終わったとしてもまた時代は繰り返しますから、それと関係なく植物たちを大事にしてあげてほしいですね。

 

 

 

雑記

 

沼尾さんと初めて連絡をとったのはInstgramで植物の仕入れしたいなと思いDMしたことが始まりでした。

 

理屈っぽくて面倒くさい人だなと思ったのはここだけの話です(頭がいいとも言えるけど)

 

ただ、二度ブームを見て思うことがあるのだろうし、プロ意識が高いからこそだなと思っています。

 

あとはIT系の出身ということもあってか思考は極めて理論的かつ合理的な人だなと感じました。

 

扱っているのは風変わりな植物で農家的な見え方がしますが一つの健全な企業としての考えを貫く姿に共感を覚えています。

 

共同開発した鉢に関しても今カッコいいとか流行っているというようなモノ、と言う視点ではなくまだ需要の無いところに関してリーチしようとする思考もTOKYと近いなと思いました。

 

ハイレベルな植物に興味がある人は是非CACTUS GREENさんに連絡をとってみてください。

 

01

02RAKUの最初のリリースは5号のボウルポットと3.5号のシリンダーポットとなります。

 

Interview10 / 園芸家 Shabomaniac!さん

2019.05.14

植物界のキーパーソンにスポットを当ててインタビューする企画、第10回目。
今回はTOKYと共に書籍「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」の共同監修・執筆を担当していただいたShabomaniac!さん。サボテンや多肉植物が好きな人で彼を知らない方はモグリでは?と思えるほどの有名人でTOKYにとっても植物の先生とも言えるほど様々なことを教えてくれた恩人でもあります。

 

 

Shabomaniac!さん
幼少よりシャボテン・多肉植物を栽培してきた歴40年の園芸家。
幅広く様々な科、属の植物を育て、栽培困難種の実生や、新種の輸入にも早くから取り組んできた第一人者。
自生地を巡り、10年目を迎える同名のBlogには実体験に基づく栽培法と、自ら育成した美しい植物の写真が並ぶ。Shabomaniac!

 

 

shabowallneoこの逆光の写真を見るたびにゾクッとするのは私たちだけでは無いはず?

 

 

 

ーShabomaniac!さんのご職業と世代のヒントだけ教えてください。

 

ドキュメンタリー制作の仕事をしていました。いまは普通の管理職。

 

60年台後半生まれ、それくらいで勘弁してください 笑。

 

 

 

 

ー実は最初にお会いしてからもう5年くらいになります、いきなりなのに合って頂いてその節は感謝しています 笑。

 

確かいきなり田舎にある温室に来たんですよね?
パキポディウムが欲しいとかって、温室も見せて欲しい的な。

 

そのときは、ディッキア ゴエリンギーとかアガベ チタノタにも反応していましたよね。

 

でも、実際はどちらもうちにはなかったんだけど。近似の別種でした。

 

アガベ・ネバデンシスとか見てもピンときてなかったから「これって結構いいんだよ」って言って 笑。

 

今だと誰も入れないし非公開だから、平和ないい時代でしたよね。

 

 

 

 

ーあの時は今みたいなブームが始まってなかったからよかったんですかね?

 

始まっていたかもしれないけどここまで広がるとは思ってなかったからね。

 

そして良い意味でも悪い意味でも広がり過ぎですよね。

 

 

 

habitat_1自生地で逞しく生きる姿を再現するのが氏の園芸の真髄と言えるだろう。

 

 

ーそんなShabomaniac!さんの独自の育成や栽培方法などあれば教えてください。

 

基本的にはその植物が(主に原種)自生地・原産地(または原生地)でどういう姿で生きているか、それに近づけられるように栽培しています。

 

小さいものは小さいまま、土に埋まっているものは埋まったまま、なので、人間の観賞の為に塊根を掘り出して栽培する、と言うことにはちょっと抵抗感がある。

 

 

 

 

ー歴の長い人で言えばその逆の人が多いイメージです、皆さん鑑賞に重きを置いていると言うか。

 

そうですね。いわゆる立派な植物をたくさん持ってる人ではありません。

 

昔、とある愛好家の集まりで、趣味家の先輩に学名で質問をしたら、「ここでは横文字なんか使わないでくれ」って怒られたことがあります 笑。

 

以前は旦那衆の道楽というか、そういうカルチャーが色濃かったように思います。

 

植物の価値は値段。だから高い植物にしか興味がない、と言い切る人もいたり。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーあまりお金に執着せずに楽しまれているように見えます。

 

実際、植物道楽はお金がかかるんですけどね 笑。

 

これは書籍の座談会でも話したのですが植物との対話って世間での出来事や人が人を値踏みするような社会とかけ離れて自由なところが良いんですよね。

 

 

 

 

ーそういった姿勢、エシカル(倫理的)に植物を楽しむ人も増えてきたのかなとも感じます。

 

昔は自生地でその植物がどうやって生きているかなど、あまり興味を持っている人は少なかったように思いますね。

 

そもそも、情報がなかったから。今はそういう意味で言えばネットで検索をすれば自生地を見たりもできるし、いい時代になりましたね。

 

 

 

 

ーそして書籍作り、実際やってみていかがでしたか?

 

もう、本当に大変でした。それは夢に出るくらい 笑。

 

出版や編集の人は植物の専門家ではないから、そこの摺合せも苦労しました。

 

植物の撮影でカメラマンさんに撮るべきポイントを伝えることなども含めて。

 

この植物のどこが見どころなのか、説明しなければわからないものなんだなと。

 

 

 

 

ー共通の言語探し、みたいな部分はやはり苦労しましたね。

 

そういう意味で言えばライターさんにはかなり助けられましたね。

 

彼はアカデミックなアプローチで植物を語るからそういう意味では読み取りやすかったと思います。

 

 

 

 

ー質問が前後するかもしれませんが何故監修に名乗りを上げてくれたのでしょうか?

 

最初にTOKYさんに撮影協力の依頼を受けたのが書籍づくりのきっかけになったんですけど、本に自分の植物を載せる際に不正確な情報では絶対に載せたくないなって思って。

 

植物は自分の子供みたいなものですから。だったら自分も書籍作りに参加してしまえ、と 笑。

 

僕は割と、理屈っぽいことも言うので、そういう考え方が苦手な人も多いかもしれないけれど、TOKYさんはそのあたりにアレルギーも無さそうだし、観点も違うから面白いコラボレーションができた書籍になったな、という印象です。

 

 

mtg_2

 

 

ー書籍の中では学術的なテキストのファクトチェック(情報の正確性、妥当性を検証する行為)はShabomaniac!さんがいなかったら成り立たなかったと思います。

 

自分で言うのも変だけれど、僕が参加しなかったらもう少しインテリア寄りの本になったのかな?と思いました。

 

でもそこは化学反応も期待していましたし。
TOKYさんも僕のBlogを見て、訪ねて来た時点で相当変わり者だと思ってて。

 

元々いわゆる典型的なコーデックス好きな人とも違ったし、中には僕が「実生しよう、自生地の山木は大事にしよう」って書いてることをよく思わない人もいるだろうし。

 

そういう事も踏まえて、結果的に書籍作りは面白いパーティーになったと思います 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー変わってる、光栄です 笑。

 

例えば今は人気のコーデックスだって一昔前のサボテン・多肉の本なんか見ても最後の方に「その他の植物」みたいなカテゴリの中にアデニアやパキポディウムなんかが入っていましたが、あまり関心は持たれていなかったと思います。

 

そこを執筆していたのが現在の国際多肉協会の会長である小林さんだったりしましたね。

 

要はそれくらいマイナーで、変わった人が育ててる植物、くらいの感じだったんですよ。

 

逆に僕はサボテンを主にやっていて、いわゆる多肉ではいきなりコーデックスに行っちゃったし。

 

僕はサボテンも園芸種より原種中心ですが、コーデックスも野生植物の姿をそのまま楽しむという点では同じだったからです。

 

僕のHPには20年以上前に撮影したコーデックスなんかも載っているので是非見てみてください。

 

そういう意味では僕もコーデックスに関してはフロンティアを切りひらいた一人だったのかなって思います。

 

 

seeding氏の実生している約10年目のオペルクリカリア・パキプス。

 

 

ー具体的に教えてもらえますか?

 

その昔、僕が小学生の時にオペルクリカリア・パキプスが日本に入ってたんです。

 

その当時の株は標本として進化生物学研究所にあったりとか、その他昔から園芸をしている人のハウスに今でもあると思います。

 

「すごい植物だなぁ、良いなぁ…」と思い続けて20年ほど経過し、20世紀の最後くらいに信州の西澤さんが輸入したんですよね。

 

当時は未だサボテンオークション日本も無かったと思う。

 

今、ここまでの世界的なコーデックスブームになってしまうと、山採りをするにも、需要が供給を圧倒しちゃうから、そりゃあ規制も厳しくならざるを得ないですよね。

 

 

 

 

ーそういう話は書籍の座談会でも出てきましたよね。

 

そうですね、そういう意味でも有意義な内容になったかと思います。

 

その中で鷲原さんはInstagramやBlogではかなり尖ったことを発信しているので構えていたんですが、とても柔軟な考え方で、大人な方なんだなって思いました。ものすごく酔ってはいたけど 笑。

 

河野さんはI.S.I.Jの会報の文章を読むと「かなりお年行った方なのかな」と思っていたら会ってみてびっくり、お若くて。

 

でも若い中でもあの知識と経験は凄いと思います。
理系なんだけど文学的な表現で植物を語れるところ、そこに対するこだわりもユニークだなと感じましたね。

 

そういった個性的なパーティーの中で新しい発見も出来て、この時代にこの本が出せてよかったなって思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーみんなどこか今の現状に対して言いたいことがあるなと感じました。

 

僕がこの書籍作りに参加しようと思ったのは、藤原さんとも以前からやりとりしていて、どこかに反骨精神がある人だな、と感じていたんですね。

 

現状に対して、「これでいいのか?」って思っている人だと思ってたから、そういう部分を本に残せるなって。

 

「野生の植物や自生地を大事にしよう」って言えない雰囲気って今の園芸の世界にはあると思っていて、「でもやっぱり…採りすぎだよね」って思いや情報は発信したいし残したかったんです。

 

 

P.gracilius氏の実生された約15年目のパキポディウム・グラキリス。その迫力と風合いは原産地球にもひけを取らない。

 

 

ー最近ではマダガスカルの植物の輸入の方針が変わる話はよく聞きますね。

 

マダガスカルに関して言えば20年くらい前までは規制が厳しくて、植物の輸出入でいえば鎖国のような時代があったんですよね。

 

環境や自然の産物が国の財産だってことはもちろんマダガスカルも分かっていて、それこそパキポディウムなんかも守られていて長い年月日本に入らなかった。

 

でも政情がかわって、その辺が緩くなってまた入り始めて・・・と、結局今起こっていることは揺り戻しでしか無いんですよね。

 

 

 

 

ー図鑑ページでは植物そのものを掘り下げ、座談会でそれらをどう取り扱い考えていくか、みたいな総論になったと思っています。

 

なんども言うけれど、僕にとっても山木、野生植物は憧れです。

 

その山木の植物を手にした時に、嬉しさと同時に刺さってくる何か複雑な気持ち、「それは偽善だろ」と跳ね飛ばすのではなくてそういうザラザラしたような気持ちを持ちながら植物たちを愛でる。

 

山木=盗掘品と考える人も世の中にはいます。でも園芸の世界でそこの答えは100か0では無いですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーその辺の意見も出つつワイワイ言いながら作れたのは楽しかったです。

 

日本文芸社の担当の方が植物が好きってのが先ずあったのでそこも良かったと思っています。

 

結果的にマニアックな書籍になったわけだけど、植物に興味ない人ならあそこまで尖った本にすることは許容出来なかったと思います。

 

そして藤原さんが監修でいながら鉢のことを本編に全く出さなかったのは流石だなと思いました (ありがとうございます 涙)。

 

今鉢だけの本?を作っているらしいから、それはそっちでやった方が良いでしょうしね。

 

 

 

W_1こちらも氏の実生された奇想天外、迫力のある塊根です。

 

 

ーそして、座談会でShabomaniac!さんだけ未回答だった質問がありましたね。

 

あぁ、自分にとっての究極の植物ですよね?僕はやはり奇想天外(ウェルウィッチア ミラビリス)かなぁ。

 

僕にとっての究極の植物というのは物語の中に出てくるような現実に存在しない伝説の様な存在。

 

龍膽寺 雄さんの書かれた「シャボテン幻想」という書籍の中で僕はそれを小学校の時に図書館で借りて読んだんですよね。

 

その中に「沙漠にのたうつ怪物」「世界一の珍奇植物」とか龍膽寺さんなりのレトリックで表現されていて、でも写真は載っていないという。

 

それもう頭の中で膨らみすぎちゃって、気になって気になって 笑。

 

でもそこにも書かれているけれどやっぱり奇想天外は移植ができない植物で、実生するしかないってなるわけです。

 

20年前にアフリカの種屋さんに頼んで初めて手にして、蒔いて芽が出て「あぁ、ちゃんと育つんだなぁ」って感動は忘れられません。

 

奇想天外の何千年という驚異の樹齢で考えれば「こいつと死ぬまで一緒にいるんだ」なって、僕はもうおじさんなのに若い奇想天外を傍らに置いてしまった、どうしよう、的な。

 

維持すればこれから何世代にも渡って受け継げる植物。

 

後は僕はシンプルなデザインが好きなので、2枚葉を延々と伸ばし続けるその性質が単純過ぎて最高。

 

ちなみに塊根部分もヒビが入っており丸くて可愛らしい、そんなところも好きです。

 

あと栽培するうえで究極の植物を挙げるとしたら、北米の難物サボテンである白紅山と天狼かな。

 

 

W_2見れば見るほどに…珍奇です。

 

 

ー奇想天外って植え替えがとても困難と聞きますよね。

 

そうですね、根鉢のまま、大きめの鉢に移植する感じになりますね。

 

特に実生して間もない幼苗を植え替える時は細心の注意が必要になります。

 

直根の先の部分にしか成長点が無いからそこが潰れたり折れたりすると駄目になります。

 

大きい株になれば根が分岐しますから、幾つかの根の先が死んでも他に生きている部分があれば問題はないんですけどね。

 

だから昔の栽培家の温室に行くと本物の土管が置いてあって、そこに植えてる人とか結構いましたよ。

 

地下水脈を目指して伸びるから5~6mにはなるんでしょうね。

 

 

 

 

ーところでこの書籍のポイントはどこでしょう?

 

あくまでもこの書籍は千差万別有る珍奇植物の入り口編で、掲載されている植物の中で気になるものがあれば開くことができる、ドアを付けたようなところですかね。

 

そのドアを開けた先はもっと深いから、深めて喜びを見いだせるキッカケになるような書籍になればいいなと思っています。

 

もっと言えば一つのカテゴリーだけでも一冊の本が出来るくらい深淵ですから、コミフォラでもコノフィツムでもそれだけで分厚い本がありますからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー何か追記で言及しておくことはありますか?

 

書籍を作り出した時期とも重なるんですけど運用方法が変更になって、植物検疫のチェック体制がとてつもなく厳しいことになっていますね。

 

これまでは種子に関してはおおらかな対応だったんだけど、種子も全て書類が不可欠で、個数と属名・種名のスペルが一文字でも違うとハネられちゃって、そういうものは任意放棄を求められる。

 

要は「あなたの判断でこれを放棄しないと他の輸入物も全て止まってしまいます」ということなんですよね。

 

例えばフランスの業者から種を輸入したんだけど、仏政府はそれら全ての種子はアーティフィシャル(人為的に作られた種子)ですよと正式に証明をだしてくれています。

 

ワシントン条約の中には’種子に関してはCITES1のものでも人工繁殖と明確なのものであればCITES2として扱う’という条項があるにも関わらず日本の植物検疫の現場はその辺りのことをしっかりと理解・運用できていないようなんです。

 

こちらが説明しても現場の税関の職員はそれを理解できてないので「それをやっているとあと一ヶ月かかりますよ」とかってなってしまうんです。

 

だったら放棄せざるを得ない、ということになるんですよね。

 

 

 

 

ー種子の輸入に大きな変化が訪れているんですね。

 

そうです、そうなるとCITES書類が必要な付属書Ⅰの種子は現実的に輸入することが困難になる。

 

今はいくつかの種屋さんは種子の為に検疫証明書をとってくれてはいますが、さすがにCITES書類を取ってくれる種屋さんは世界中探してもなかなか無いでしょうね。

 

小売りでは費用対効果が全く釣り合わない。

 

それで一体何が起こるかと言うと、ビジネス的に額の大きい山採りの植物は、CITESつきでドンドン国内に入されるけれど、取り引き金額の小さい種子は輸入できなくなる、ということになりますよね。

 

絶滅の恐れがある植物を守るために、山採りではなく、播種して育てようと思ったときに、それができない、という矛盾したことが起こるんです。

 

 

 

 

ー本末転倒としか言えないですね。

 

この書籍でも実生のススメ、みたいなことを推奨しているのですが、そう書いたはいいけれど肝心の種が輸入できないという状況が目に見えています。

 

国内に既にある植物であれば自分自身で結実させて種子を取ればいいけれど、たとえば新種の導入なども難しくなる。園芸を楽しむ身からすればとても辛いことです。

 

 

 

 

ー表層的なブームだからそういう事になってしまうんでしょうか?

 

山木を楽しんでいるコレクターの中にも自生地の環境破壊には反対するような意見もSNSならでは、見えてきます。ふつう、その植物が大好きだったらそう思いますよね。

 

そういう意味ではTOKYさんが反骨だなぁって思うのはお金とかをどれだけ積まれても売らないものは売らなくて、そういう感覚は大事だと思います。

 

それを声に出せるひとはなかなかいないですよね。

 

そういうことを表に出すと「あいつウザいよね」ってなっちゃう今の空気感はどうかなって思いますね。

 

 

habitat_2

 

 

ー最終的には倫理観と知識の話になってくるんでしょうか?

 

バランス感覚が大事ですよね。
これだけ大勢の人が楽しむ園芸になってきたら、あり方も変わらざるを得ない。

 

取り締まる側もなんでもかんでも規制してしまっては園芸そのものが衰退してしまいます。

 

もちろん愛好家の側にも、ただの商品ではない植物についての想像力や知識が求められますよね。

 

種子を買う側でいえば、海外の種屋さんが人気種の種子を販売した瞬間に買い占める人もいてオークションサイトに並んでたりする。

 

そこだけ想像力が敏感に働く(笑)。

 

僕がInstagramでフォローしているヨーロッパの栽培家の人がいて、その人が面白いのは自分の植物のポスト全てにではないけれど見る人の倫理観を問うような文章を頻繁にポストしてるんです。。

 

例えば実生のコピアポアの写真に…

 

Real great collectors have a high ethical sense. Only plants reproduced from seed and not stolen from the habitat
「真の偉大なコレクターは高い倫理観を持ってます。自生地から盗まれたものではなく種から実生された植物のみを所有するべきだ」

 

というとこでしょか。

 

僕は実生もしてるけど、コピアポアの山木も育てるんで、頭ポリポリかきながら、見てます 笑。

 

ちなみにこの人はものすごく栽培が上手で。 これなら山木はいらないし、私もこうなりたい。

 

 

viola中央パタゴニアに自生する高山植物のロゼットビオラ、その姿は珍奇そのもの。Photo by
Scottish Rock Garden Club Forum

 

 

ー今後何か活動的なこととか予定していますか?

 

また本を作ることがあるかもしれないし、Shabomaniac!のブログは、読んでくれてるっていう人も結構いるみたいなんで植物の育て方とか、発信を続けていきます。視点変えればこういう素敵な植物もありますよってことは伝え続けたいです。

 

今回の書籍では不可能でしたがいつかアルパインプラツ (高山植物)も紹介したり携わってみたいなと思います。

 

例えばアンデス山脈に自生するロゼットビオラとか、花も美しいとても珍奇な姿で、多肉の世界に近い感じがします。。

 

実際は東京で育てるのは大変に難しく何度も種子からチャレンジたけれど駄目でした。

 

ほかにも惹かれるものが色々あります。
そんな感じで、次々に節操なく育てたくなるので、植物に飽きることはないでしょうね。

 

 

 

雑記

 

「シャボさん都内に住んでるしすぐ会えるからいいか」。とインタビューしようしようと思い時は流れこのタイミングに…汗。

 

しかし発売される書籍のスピンオフ的な内容にできて結果的には満足する内容になりました。

 

この仕事を初めて様々な人に出会いましたが割と初期の段階でShabomaniac!さんに出会えたことは私たちにとってとても幸運な出来事となりました。

 

異業種から飛び込んだ私たちは園芸のセオリーや風習が分からずに常にストレスを感じていたのです。

 

BlogやSNSを見てもわかると思いますが思考は論理的、でも全然上からじゃなくてとてもフラット?ニュートラル?「こんな人がいるんだ!」ととても嬉しかったことを覚えています。

 

そういうどこか似た感覚というのは書籍作りを共に切磋琢磨する中でも思いました「あぁ、この人はクリエイターなんだ」と。

 

私たちはTOKYという園芸のブランドを運営していても所詮はモノづくりの会社と思い毎日仕事をしています。

 

共通の言語が多いな、とどこかで感じたのはShabomaniac!さんもモノづくりが好きなんだなと思いました。

 

今回一緒に書籍作りができたことは生涯忘れられない素敵な思い出です。

 

「あぁでもない、こうでもない」と議論を交わし「ここをこう撮ろう」とか打ち合わせや撮影の時ですら私たちには多くの発見と気づきがありました。

 

埼玉サボテンクラブの長谷川様のご自宅に撮影に行った帰り道3時間ほど一緒にドライブし、そこで仕事のお話や若い頃の話など聞かせていただいて…もう…感無量です。

 

Shabomaniac!さん、いつも気にしていただいてありがとうございます!!

打ち上げは6月にやりましょう 笑。

 

 

book珍奇植物 ビザールプランツと生きる 日本文芸社 ¥2,052

 

Interview09 / 植物研究者(I.S.I.J.会員) 河野忠賢さん

2018.05.16

植物会のキーパソンにスポットを当ててインタビューする企画、第9回目。
今回は国際多肉植物協会の会報「I.S.I.J.」にて毎号、植物の美しい写真と、そして磨かれた栽培技術に関する記事などを書かれている河野忠賢さんにお話を伺いました。

 

 

「この人は一体何者なんだろうか?」

 

 

同誌を読むたびに疑問は深まり最近初められたInstagramからメッセージを送りインタビューが実現しました。
ちなみにインタビューは通常温室などに赴くのですが栽培場が非公開の為異例のTOKYの管理場(テラス)で行われました。

 

 

河野忠賢さん
本業はサボテンの刺の進化を研究する研究者。
I.S.I.J.にてとても興味深い記事を掲載するとともに、見て取れる栽培の熟練度と所有しているであろう膨大な植物の数々。写真の美しさや装丁デザインの素晴らしさなどにおいて同誌を底上げする重要人物。
tadayoshi kono

 

 

Pachypodium namaquanum4河野さんが栽培されるパキポディウム・ナマクアナム (Pachypodium namaquanum)。植物に興味が無くともこの美しさは伝わるのではないでしょうか?

 

 

Aloeprinslooi河野さんの手がける記事。I.S.I.J.の最新号よりアロエ・プリンスローイ (Aloe prinslooi)を題材にした特集記事。植物とのドラスティックな出会い、そして美しい写真と丁寧な文章。

 

 

 

ー植物の栽培はいつ頃からされているのでしょうか?

 

小学生から植物を育てていますのでざっと20年弱くらいでしょうか。

 

現在、大学院の博士課程で植物の研究をしています。

 

研究を志す様になったのは、後のことで、まず植物を楽しみ育てることが先でした。要するに生粋の趣味家です。

 

そうして日頃から多肉植物に接して行くうち、どのようにしてこの不思議な形が進化してきたのかということに興味を持ち、サボテン科のアイデンティティともいえる刺の発生進化を研究し始める様になりました。

 

昨年まで読売新聞で連載されていた三浦しをんさんの「愛なき世界」(植物学をテーマにした小説)に登場するキャラクター(サボテンの刺を研究する院生役の加藤)のモデルにもなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーその研究はどのようなことをされているのでしょうか?

 

普通の植物でいうところの葉が変化したものがサボテンの刺にあたります。

 

サボテン科の進化の過程で、ひらひらした柔らかい葉から、尖った鋭く硬い刺に至るまでに一体どんな進化のステップがあったのか。

 

そうした形態の進化を、遺伝子のレベルで研究しています。

 

 

 

ーI.S.I,Jに寄稿されている経緯を教えていただけますか?

 

国際多肉植物協会の会長である小林さんとは古くからの仲もありお手伝いしている、と言うところと私も今の多肉植物の世界やこれから初められる方に伝えたいことがあるので記事を書いています。

 

あとはデザインや編集が元々好きというベースはあります。

 

 

 

ーこういう人に読んで欲しい、というのはあるのでしょうか?

 

ターゲットにしたいのは”初めて間もない人”に響くように書いています。

 

特に最近園芸の世界には、ファッションやインテリアから入る人が多いのでそういう人たちのこともイメージしています。

 

そして大きな流入口としてinstagramなどSNSの影響が強いと思うのですがそういう所から入った人たちが見て「植物はこんなに素晴らしいんだ」という事が伝わればいいと思っています。

 

多肉植物の不思議な形は、魅力ですから、多肉植物の姿に魅かれるのは至極当然のことだと思っています。

 

ここ数年の多肉ブームは、これまでの流れとは全く違うところから、ドッと裾野が増えた様子です。

 

サボテン大好き玄人おじさんたちのために書いているのではなく、そういう人たちに届く様に書いているつもりです。

 

 

Caralluma solenophora怪しい花をつけた魅惑のガガイモ カラルマ・ソレノフォラ (Caralluma solenophora)こういう植物の美しさに気づくには意外と時間がかかります。

 

 

皮肉に思うのは、植物界でもっとも人心を魅く姿をした多肉植物という植物が、数ある植物の中でも最も育てるのが難しい植物の一つだったということです。

 

ここ数年のブームを見ていると、やはり植物のことが心配になりますね。

 

パンジーも育てたことの無い人が、初めて手にする植物がパキポディウムというのは、やはりちょっと無理があるように思います。

 

枯らして学ぶというのは事実ですが、やはり順序がありますよね。

 

買った当人にしても枯れたら、いやですよ。残念なものですよ、いやになります。

 

うまく行くと嬉しいものです。もっとやろうと思うものです。

 

健康に維持して、さらに魅力の出る様に育てようと思うでしょう。

 

 

 

Pachypodium brevicaule 恵比寿笑多くの成長点から咲き誇る鮮やかな黄色い花をつける、パキポディウム・ブレビカウレ 恵比寿笑 (Pachypodium brevicaule)。花を見れるのは僅かな期間で、現地球はそれなりに練度を積んだ生育が必要となります。

 

 

モノではないということです。買って終わりではない。

 

せっかく興味を持った人が正しい経験と知識を持たず枯らしてしまい、離れて行くのは残念なことです。

 

めげずにうまく育てられる人が増えて、もっとこの業界の裾野が広がっていけばいいと思います。

 

ブームになると、SNSなどの影響で人気種が一点に集中しがちですが、始めたばかりの人がそれで多肉植物が分かった様に思っては残念です。

 

多肉植物の世界は広く、半端ではない。あちらこちらにきら星のごとき種が存在しています。そういったものを広く紹介して行けたら、と思っています。

 

インスタ世代の人たちの大部分は、I.S.I.J.のような会などに参加せずに楽しんでいる様子です。

 

ただ、そのような会に参加することで、同じ興味を持った人に会えますし、きちんとした栽培の仕方などを知る機会は増えると思います。

 

 

 

Opuntia galapageia1黒肌で、成長が遅く、トゲの美しさは比類なし…河野さんが今特に気に入っているサボテン オプンチア・ガラパゲイア (Opuntia galapageia)

 

 

 

ーですが、かなり専門的な内容が多いことも事実ですよね?

 

簡単なことを難しく書く必要はないですが、本質的に難解なことを簡単に書くことはできないからです。

 

まだ知識の浅い人に向けて書いているといいましたが、内容を下げて書くということはしません。

 

植物を育てる経験を積んで、いずれまた読み返してみると、なるほどと分かるということもあるでしょうし、そういう意味で何度も読み返してみてもらえればと思います。

 

毎回それぞれの植物について体験と鑑賞の髄を書いているつもりです。

 

好きというのは、一見ひとりよがりな価値観ですが、不思議と共感を呼ぶものです。

 

ただ、読んでもらいやすいように、文章の工夫はしています。

 

 

 

ー記事を書く時に大事にされていることはあるのでしょうか?

 

写真をみてもらうだけでも良いのですが、やはり書かれていることにも目を通して欲しいですね。

 

そのために、読んでもらう際の工夫はしています。

 

美しい写真の側に文章があれば、一体何が書いてあるのか、気になってくるでしょう。

 

ですから、文章は勿論ですが、紙面のレイアウトや写真の美しさにむしろこだわっています。

 

デザイン性を重視していますので、勿論植物の種類にもこだわりますが極端に言えば種類関係なくその植物のデザインが優れていればそれで良いという考え方です(極論ですが)。

 

意外に思われるかもしれませんが、私の様な栽培家で研究職の人間でも陶器鉢も使います。それは植物体の魅力を引き立たせるためです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーどのような陶器鉢が好みなのでしょうか?

 

多肉植物は、それだけで主張の強い、存在感のあるデザインをした植物ですから、鉢までゴチャゴチャしたデザインでは、目に飽きが来てしまう。

 

そして私の好きなデザインの鉢というのは、根本には、育てやすい鉢です。

 

どこまでも育てるという視点から発したデザイン。それをつきつめていけば、自ずと格好よくなるはずだと思っています。

 

最近流行の鉢を見ていると、口径の小さい割に分厚く、正直言って作りにくい印象の鉢が多い。植わっているのを見ていて、息苦しそうな植物は多いです。

 

陶芸家が、植物のことを分かっている必要はありませんが、昨今の鉢をみれば、植物を作ったことが無い人が作陶しているというのは一目瞭然です。

 

植物の視点に立った作陶家がいないというのは、今の鑑賞鉢の世界は未熟というか、自分の意匠を示すだけの思いが強すぎるのが残念です。

 

もう少し、無私な鉢が欲しいですね。

 

自分好みの鉢が売ってないなら、そのうち自分で作ってみたい思いはあります。

 

作陶も植物趣味の楽しみの一つとして、やれたらいいんですけど。

 

 

Euphorbia poissoni variegated恐ろしく美しい斑入りの葉、そして猛毒の樹液を持つユーフォルビア・ポイゾニー 錦 (Euphorbia poissoni variegated)

 

 

(・・ここで視界に管理場のユーフォルビア・パキポディオイデスが目に入りふと聞いてみました。)

 

 

 

ー例えば、ユーフォルビア・パキポディオイデスは自生地がパキポディウム・バロニーととても近く、そしてその植物のデザイン自体もとても似ています。これは何か理由があるのでしょうか?

 

先に言っておくと事実は分かりません。ただ幾つかの可能性が存在します。

 

まずは可能性として、収斂進化 (しゅうれんしんか)です。

 

その進化の内容の詳細は興味があれば個々で調べて欲しいのですが簡単に言えば複数の異なるグループの植物が、同様の生態的地位についた時に、科属種に関わらず似通った姿に進化することを指します。

 

もしくは擬態でしょうか、生態的優位に立つ他の植物に近づくことで生態を維持・拡大することを目的としている可能性もあります。

 

地理的にも全く関連が無くコロニー間が長距離に渡り離れていてもこういう似た植物が現れる事象は発生します。

 

ただ事実は未だ持って解明されないことが多いのです。

 

サボテンとユーフォルビアの一部にも非常に酷似したものが存在しますが上記で述べた進化の過程に当てはめて考えることができるでしょう。

 

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA現地球のワイルドなオトンナ・ヘレイ (Othonna herrei)

 

 

まつわる話で一つ思い出しました。

 

Othonna herreiと言う植物がありますが、この植物は、ある別の多肉植物に擬態していると言われています。

 

休眠中のヘレーの姿は、疣立っていてTylecodon cacalioidesのそれとよく似ています。

 

チレコドン カカリオイデスというのは、家畜が食べると死に至るようなかなり毒性の強い植物です。

 

そのため、毒性の無いオトンナヘレーは、これに擬態することで動物からの食害を避けていると言われているのです。

 

 

 

ー栽培に関してこだわりなどがあれば教えてください。

 

一例ですが、内地球でも現地球であっても私でしか成しえない姿にすることを1つのポイントとしています。

 

例えばこのユーフォルビア・クラバリオイデスですが私の育てているものは輸入されてからも完全に山木の状態で大きくしています。

 

多くの人は枝を大きく伸ばしてしまい現地の姿とは異なる場合が多い種です。

 

様々な植物に言えますが内地球であっても現地球に勝るような迫力ある姿に育てることも可能です。

 

それが自分が植物を栽培する1番大きな意義だと思っています。

 

 

群生した現地球に勝るとも劣らないユーフォルビア・クラバリオイデス (Euphorbia clavarioides)

 

 

 

ー現地球と言えば、国内実生とは程遠い凄まじい形状のものがありますがあの様に育てるポイントはあるのでしょうか?

 

健康的に維持するだけでなく、より積極的に作り込む。それはやはり一朝一夕ではない、栽培の経験が必要ですし、なによりも忍耐が必要です。

 

これだけ多様な多肉植物は、栽培の仕方も一様ではないですし、実際まだ栽培が確立されていないような種類も数多くあります。まずは健康に育てることです。

 

人間の時間と自然の植物のそれは尺度が違っているということを腹に据えることが第一でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

現地球の持つ枝振りの厳つさや、詰まり具合、荒々しさというのは、言って見れば”自然の剪定”の結果と言えます。

 

多肉植物は、根本的に乾期を経験する植物です。乾期を乗り切る為に、自分の身体に水分を蓄える様に進化してきた植物です。

 

現地球の成長の仕方というのは、おそらく3歩進んで2歩下がるというような様子であるはずです。

 

成長期に成長して伸びた部分は、休眠期にはいくらか枯れ込んでしまうのです。

 

乾燥は当然ですが、強風や、砂粒、過剰な太陽光線などといったストレスによって末端の枝は枯れてしまいます。

 

こうして、じり、じり、と長い時間をかけて、大きくなってゆくのです。

 

内地球が10育つのと、現地球が同じ10育つのでは、そのかかっている時間の長さが違うのです。

 

 

Pachypodium enigmaticumとても貴重で現地球はほとんど存在しない謎に満ちた新種のパキポディウム・エニグマチカム (Pachypodium enigmaticum)河野さんはエニグマチカムの発見者から友好の証として現地球を譲っていただいたそうです (上は接ぎ木、下は現地球)。刺の様子などを比べて見ると分かりますが、接ぎ木した株と、正木(一度も接いだことのない株)の株では、姿が全く異なります。

 

 

enigma特別に公開の許可をいただいたエニグマチカムの貴重な現地球。ラベルに書かれた英字の書体も綺麗ですね。発見者の方は種を守るために自生地の一切の情報を開示されていないそうです。

 

 

そう言う意味で、もし内地球を原地球の様に作りたいと思えば、それだけの時間に耐える忍耐が必要だということです。

 

昨日切って、来年などというような世界ではありません。

 

また植物は、先端の芽がつぶれると脇芽が複数吹きます。

 

枯れることで、一芽が三芽に、それを繰り返すことで、節間の詰まった、厳つい姿に育って行くのです。

 

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA河野さんの実生されるケラリア・ピグマエア (Ceraria pygmaea)。

 

 

ケラリアのピグマエアなど、ご覧になってどう思いますか?。

 

あれを実生から作ることを思うと、途方も無いです。自然の剪定というのは、そういうものです。

 

丸く作るというのは、忍耐がいるのです。

 

良い素質の苗をみつけて買う時でも、ああ30年後にはこんな姿になっているな、と思い描いて買うのは楽しいものです。

 

 

 

ー今後の自身の活動で目標などはあるのでしょうか?

 

既に導入されている種類でも、知られていないものや、あまり評価されていないものを紹介していくことに加えて、これから新たに導入されてくる植物についてもきちんと紹介して価値作りをして行きたいと思っています。

 

日頃から、自分の楽しみの為にいつもアンテナを伸ばしていますし、未だに日本に導入されていない植物に触れる機会は、やはり多いです。

 

なので、もし本当に新しくて、面白いものが目の前に現れたときに、きちんとひのき舞台を植物に与えて、そうして業界に価値を認められて、浸透させていくことが大事なことだと思っていますし、自分自身、その価値作りの過程にも、楽しみを感じてやっています。

 

I.S.I.J.での連載では、既に流通のある植物の魅力について書いていますが、最近始められた多くの人にとっては知らないものばかりでしょう。

 

知らない過去もまた、新しいのです。

 

 

 

ー現在の多肉植物のブームに関して何か思うことはありますか?

 

植物の最も輝く瞬間というのは、桜の七部咲のように、一年のうち少しの限られた時期だけです。

 

路傍の桜であれば、花見を楽しんで、後は葉の茂った時期を気にしなければ済みますが、鉢植えとなると、当然世話がいるのです。

 

ずっと付き合わなければ行けないのです。モノではないということです。買って終わりではない。

 

またブームというのは、いろいろなところで山が生まれては潰れてを繰り返すものです。

 

そういうものに左右されることなく自分の好みに従って、植物を選び、信じて、楽しむところが重要でしょう。

 

新しさや珍しさにおもねらない、美を求める心がなにより大切だと思っています。

 

 

Lenophyllum guttatum Red variegatedルビーの様な美しく赤い斑が入ったレノフィルム グッタツム 錦 (Lenophyllum guttatum Red variegated )

 

 

ー最後に比較的最近に植物を初めた方にメッセージなどあれば是非。

 

最近の人の嗜好をみていると、素人なのに欲しがるものは玄人並という印象です。

 

SNSやインターネットで人気があり、見栄えの良い完成球を目にすることが多いからなのでしょう。

 

私は、ハオルチアの十二の巻が最初の多肉体験でした。

 

ブームの渦中に巻き込まれず、リーズナブルな普及種にさえも魅力を発見するということが大事ではないのでしょうか。

 

既に人気なものに殺到するのは作品のキャプションを読んでから作品を見るようなものです

 

これでは、美を求める心が養われることはないでしょう。

 

植物の美しさと直接に付き合って、楽しむことが大事だと思います。

 

植物の美しさというのは、新しさや、珍しさなどとは無縁ですから。

 

 

 

雑記

 

インタビューする時はいつも急なのですが今回はお声がけからインタビューする間が最短でした。

 

栽培場に赴けなかったのでその時間を短縮できたのでこういうのも手だなと思いました 笑。

 

今回のインタビューで「さぁ、I.S.I.J.を買おう!!」とかではないのでそこは誤解なきよう。完全に非営利です。

 

ただ…図鑑レベル、いやそれ以上の写真の美しさと装丁の素晴らしさに私たちが感動したことに他ならず、今現代において植物が好きで河野さんの記事を読まないことはとても損だなと本当に思ったからです。

 

特に最近で言えば229~231号で3回に分けて特集されたパキポディウム・ナマクアナムの記事は現在栽培されている人たちにとってとても重要な事が多く書かれています。難しいこと抜きにしてもその美麗な写真に酔いしれてほしいです。

 

その記事で最も印象的だったのは「そしてnamaquanumという名前、これ以上に美しい綴りの学名は他には思いつかない。」綴りだって美しいデザインなんだと思わせてくれるその一文にモダンな楽しみ方をする園芸の明るい未来を想像してしまいました。

 

Pachypodium namaquanum実生ため息がでるほど美しいパキポディウム・ナマクアナム 光堂 (Pachypodium namaquanum)の実生苗たち。この子たちのタイプ別の写真も掲載されていました。

 

 

Euphorbia horrida variegated極めて美しく希少なユーフォルビア・ホリダ 錦(Euphorbia horrida variegated)。この植物との出会いもI.S.I.J.に書かれていました。すごくドラマチックでしたので是非読んでみてほしいです。

 

 

興味があればI.S.I.J.では月に一度例会を開かれていますので覗いてみてはいかがでしょうか?
I.S.I.J.ホームページ

 

All photo by / Tadayoshi Kono

Interview08 / SPECIES NURSERY 藤川さん

2017.09.22

植物界のキーパーソンにスポットを当ててインタビューする企画、第8回目。

今回は原種のさまざまな植物を扱うSPECIES NURSERY(スピーシーズ ナーサリー) 藤川さんにお話を伺いました。

 

第5回のBANKS Collection 杉山拓巳さんからのご紹介で実現いたしました。自然豊かな神奈川の高台に立ち並ぶハウスには数え切れ無い美しい植物が…充実したインタビューとなりました。

 

 

藤川史雄さん
SPECIES NURSERY園主。
大学卒業後、建築関連会社に就職した数年ののち、 幼少の頃から植物好きだった特色を生かしたいと園芸店へ転職 店舗企画、店長などを経て、ティランジア界の第一人者のもとで 専属管理を任せられる2001年SPECIES NURSERY(スピーシーズナーサリー)を設立する 。
ティランジア(エアプランツ)・多肉植物・その他個性の強い植物を 取り扱い、その普及に努める
SPECIES NURSERY

 

 

DSC02185園主藤川さん。最初は寡黙な印象でしたがインタビュー終盤はオチャメでファンキーな人と言う印象になりました。

 

 

 

ー植物のお仕事に携わってどれくらいなのでしょうか?

 

植物を触りはじめたのは小学生のころですが植物を生業として20年くらいでしょうか。

 

ちょうどガーデニングブームが訪れた時だったのでその当時は園芸店もとても活気に満ち溢れていました。

 

当時から振り返ると今はやはり園芸店は元気が無い印象ですね、植物はブームなのに変ですよね。

 

今はファッションやライフスタイル関連のお店で植物が売れるので時代の流れをとても感じます。

 

 

 

DSC02123ぺラルゴニウム・シゾペタルム (Pelargonium schizopetalum)の美しい花。ハウスの中はいい香りに包まれていました。

 

 

ーブームと言うことで何か最近思うことなどありますか?

 

特にコーデックスが人気なのが面白いなと思います、昔は今ほど育ててる人が少なかったので… 笑。

 

ただこれらは特にそうですが伸ばすというよりも太らせるような栽培方法が求められるのでわりとマニア向けなんだろうなと思います。

 

まぁでも増やしやすい植物でも無いので「そのうち国内にも入ってこなくなっちゃうだろうな〜」とは思っています。

 

だから今持っている植物はみなさん大事にしてほしいですね。

 

 

DSC02115ハウス内の一角には巨大なアデニア・ペチュエリー( Adenia pechuelii)が鎮座。

 

 

 

ー以前雑誌の企画で自生地に行かれていましたがその際になにか驚きなどありましたか?

 

驚きも何も…南アフリカなんてめちゃくちゃすごかったですよ!!

 

ケープタウンから上のナミビアの手前まで移動したのですが、もう、植物の層が半端じゃない、尋常じゃないです。

 

1つの地域で「どんだけの種類があるんだよ!!」と常識を覆されました。

 

ハンタム国立植物園という所のお話なのですがもともと牧場で牧畜が自生の植物を食べていたためにオーナーが植物園にしたそうです。

 

壊滅状態だったその地も20年もしたらとんでも無い植物の宝庫に変貌を遂げたそうです。

 

調査で1㎡の土を掘り返してみるととんでも無い数の球根が出てきて、全て数えたら2万個もあったそうです。

 

 

DSC02126人気のいわゆるケープバルブが2万個…好きな人は気絶するでしょう。写真はドリミア sp (Drimia sp)

 

 

 

ー例えばそんな中に人気のブーファンなどもあったりするんですか?

 

ブーファンは人気があるからなのかどうかは分かりませんがほとんど見ることはできませんでした。

 

ただ運良くブーファン・ハエマントイデスを2株ほど見つけることができました。

 

まぁでも行くとこ行けばたくさんあるんでしょうね。皆それぞれの土地の地主は柵で囲って入れないようになっているのでその中はどうなっているかは確認できませんでしたから。

 

 

ーちなみに話はずれますがブーファンみたいな皮が密集した球根植物って土中に埋まっていたらすぐ腐りそうなイメージなんですがどうなんでしょう?

 

あ、自生地のものも見ましたが半分くらい出ています、完全に埋まっていませんでした。

 

これはブーファンなどの球根に言えることですが生育上であまりに球根を出しすぎると弱ります。ただ埋めると湿気の多い日本だと腐るリスクが高まるので1/3くらいを埋めてあげるのが良いと思います。

 

大きくするならなるべく埋める、現状維持で鑑賞が重要であれば球根を多めに出すような感じでしょうか。

 

ただ埋めてもブーファンなどはあれだけ皮がたくさんあるので芯まではそうそう腐らないと思いますよ。

 

 

DSC02129スポットが美しい葉が人気のレスノバ・メガフィラ(Resnova megaphylla)

 

 

 

ー植物の世界の面白いというか不思議な?話があれば教えてください。

 

山取りされた立派な完成品の多肉植物なども元を考えれば自生地に生えているものでそれを取る人はおそらく地主や管理者にお金払わずに取っていると思うんですけど(お金払って取っている業者さんもいるかもですが未確認です)。

 

それが国内では立派な価格で取引されているって不思議な世界ですよね、もしかしたら自生地では雑草と変わらないかもなのに 笑。

 

一般の初心者の方は特に抜き苗でそれらを購入して上手く育てられないなんて普通で、長年栽培している僕らであっても未知の植物はいつもトライ&エラーですからね。

 

だからそうやって失敗しても愛情持って美しく育て続けてきた植物にはやっぱり価値があるんだなぁって我ながら思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

あと最近はネットなどを使って上手に植物を輸入している人がたくさんいますよね。

 

ちょっと複雑な気持ちになることもありますがそれも時代性を感じるユニークな事柄だと前向きに捉えています。

 

ただ古くから栽培や生産をしている人たちもこういう時代ですからそのあたりを意識して上手にお金儲けをできるようになればと思っています。

 

勿論僕も含めてですけど 笑

 

 

DSC02161幾つものハウスの中を丁寧な説明の上で案内していただきました。ちなみに置いてある缶は灰皿だそうです^^ 。

 

 

 

ー今困っているようなことはありますか?。

 

BANKS COLLECTIONの杉山君とも話すのですが「植物の値付けって難しいよね」ってのは大きな課題ですね。(これは関連する記事を先行して書いています)

 

投機目的の思惑が介入したりすると価格が一気に高騰したり逆に翌年は増えすぎて価格が乱高下してしまったり…。

 

例えば僕たちは昔から維持している植物で、買った人たちは皆枯らしてしまった植物とかよくあります。

 

そういう植物は結局世の中にあまり出回っていない状態ですので価格も不安定と言うことになります。

 

そしてあまりにも安定しないと純粋に欲しい人たちが手にすることができません。

 

初心者の方にも勿論興味を持ってほしいのですがそういう人も様々な情報に右往左往されてしまい結局は大きな損をしてしまうこともあるので本当に値付けは課題ですね。

 

難しいとは思いますがレア、希少、投機、そういうことを超えて純粋に生育を楽しんでくれる人が増えればいいなと思っています。

 

 

DSC02181美しく配置されたディッキアの実生ゾーン。愛情を持って、そして美しく生育されている姿勢に感服です。

 

 

ー値付けに関しては今後の大きな課題と言えそうですね。

 

これは僕だけに限らないですが地道にやっている人がちゃんと儲かるようにしたいです。

 

額に汗して働いている人(例えば生産者さん)こそが儲かるようにしたい。まぁこれは自分にも当てはまるので課題ですね。

 

植物の値段を維持して、そこに夢やあこがれもあって
単純に金額を上げるとかではなく僕ら販売側もそうだし買う側にも新しい価値観が生まれればこういう悩みも減るのかなって。

 

 

 

 

 

 

 

 

あとは…希少とか人気があるとかそう言う要素だけでなく“思い出”“思い入れ”があるからこそそれなりの値段をつけるということも大事にしています。

 

例えばホヘンベルギア・レオポルドホルスティ ‘ダンクローン'(Hohenbergia leopord-horstii ‘Dan clone’)というタンクブロメリアがあります。

 

これは有名なブロメリアのコレクターであるダンが作り上げたホヘンベルギア(通称:ダンクローン)なのですがこの株がアメリカのブロメリア協会のカンファレンスで賞を取ったんです。

 

 

DSC02105ホヘンベルギア・レオポルドホルスティ ‘ダンクローン'(Hohenbergia leopord-horstii ‘Dan clone’)を手にする藤川さん。

 

 

僕はそのダンクローンを見てダンに「すごいよダン!!」と超興奮して賛辞したところダンが「そんなに好きなら…」と言って子株をくれたんです。

 

今はダンクローンと言う名前でそこそこ流通していますがその当時の子株をもし売るとしたら(売らないと思いますが)相当高い値段をつけると思います。

 

そこは先程お伝えした”思い出”などの目に見えないストーリーがその植物には詰まっていて、その価値にもし金額をつけるとしたらどうしても高くなってしまう。

 

そう言った“自分なりのスペシャルな植物”がこのハウスには本当に多くあります。見た目は他で流通しているものと同じでも纏うストーリーが異なるものが多いことをご理解いただけたらと思います。

 

 

DSC02192最後に見せてくれた燃えるように赤いチランジア・ブルボーサ ‘レッドブル'(Tillandsia bulbosa ‘Red Bull’)。一つ一つの植物に思い入れがあります。

 

 

雑記

 

冒頭でも書きましたが藤川さんとお会いするのはこの日が初めて、お互い緊張していたと思います。受け入れてくれてありがとうございました。

 

様々な書籍でその執筆内容やお噂を聞いており”怖い人”という印象を持っていたのですがインタビュー終盤は本当にニコニコしてて優しい方だなと言う印象に代わりました。

 

とにかく「植物が本当に好きで好きでしょうがない人なんだな」と感じました。愛情でも経験でも遥か先にいる先人なので背筋が伸びる思いです。

 

この他にも小さい頃の”サボテン小僧”と呼ばれていた幼少時代のお話や渋谷のデパート屋上で実店舗をやられていたお話など盛りだくさん過ぎて今回のインタビューには載せることはできませんでしたがまた何かの機会でご紹介できたらと思います。

 

藤川さん(奥様も)ありがとうございました! また近々伺わせてくださいませ。

 

 

DSC02149冬型のコーデックスも盛り沢山でした。

 

 

DSC02154チ…チレコドン・ハリー!!!!(Tylecodon hallii)。

 

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Interview06 / 一般財団法人 進化生物学研究所 橋詰二三夫さん

2017.06.29

植物界のキーパーソンにスポットを当ててインタビューする企画、第6回目。

今回は世田谷にある一般財団法人 進化生物学研究所の橋詰二三夫さんです。
マダガスカルの南部にある多肉植物から進化を辿ると言う植物マニアなら涎モノのロマン溢れるご職業の橋詰さん。皆さんご存知のバオバブ、アローディア、ユーフォルビアなどの知られざる秘密に迫りたいと思います。

 

橋詰二三夫さん
世田谷にある進化生物学研究所研究員である橋詰さん。
主にマダガスカルの南部の乾燥地帯を中心に多肉植物を皮切りとし、生物の進化を辿る研究を行っています。
年に数度マダガスカルに渡り自生する植物と現地に住む人達に接しマダガスカルの文化を深く知る橋詰さんの貴重なインタビューとなりました。
一般財団法人 進化生物学研究所

 

 

DSC02053進化生物学研究所内のバイオリウム内では橋詰さんが植物について詳しく説明してくれました(手前緑色のジャンパーの方)

 

 

 

ー橋詰さんの職業内容を教えてください。

 

多肉植物研究室の研究員となっています。

 

役割としては研究所内の学芸員、いわゆる博物館の指導員のような位置づけとなっています(実習生に対して指導を行うような立場)。

 

研究者としての研究対象としましてはマダガスカルの南部に生息・自生する動植物を専門に研究しています。

 

 

 

ー「生物の進化」と聞くとガラパゴス諸島を思い浮かべてしまうのですが何故その対象がマダガスカルなのでしょうか?

 

1960年代にその当時の所長である近藤典生さんがアフリカの動植物を研究していく中で日本ではまだ未知であったマダガスカルを調査するという流れになり、豊富な生態系を育む同島をベースに生物進化の研究を行うようになったと聞いています。

 

 

DSC02016バイオリウム内の順路(右から回ると)を辿るとマダガスカル、アフリカ、メキシコなど乾燥地やボルネオなどの熱帯雨林を廻るコースを回ることができます。

 

 

 

ー現在植物を中心とした積極的に研究していることなどあれば教えて下さい。

 

現地の人がむやみやたらと伐採、焼き払ってしまった多肉植物のアローディアなどで出来た森林を「どのように再生させるか?」などの91年より研究所が行っている森林再生に関する試みに力を入れています。

 

方法としましては、現地調査の情報を元にこちら(研究所内)で手法を考えて現地のマダガスカルで実践する、ということが主となります。

 

ただ、現地にもリレーションをとっているマダガスカル人の専門家がいますのでオンラインでの情報のやりとりなども行い現地にいかずとも森林再生に関する活動を行うことができます。

 

まぁ森林と言っても日本で言うところの木本化の樹木ではなく多肉植物がほとんとですけどね…笑。

 

 

forestアローディアとユーフォルビアで構成された森。マダガスカルの人にとっては日本で言う雑木林など普通の森という感じでしょうか。

 

 

 

ー次にマダガスカルに行く予定などはあるのでしょうか?

 

2017年の7月の下旬に3週間ほど行く予定です。

 

私は英語などは話せませんがマダガスカル語をある程度話す事ができますので割と長期滞在での研究も可能です(マダガスカル語を聞いてみたいな…と思いましたが恥ずかしいので聞くことは出来ませんでした 笑)

 

あとは当研究所が母体となってるボランティア団体のサザンクロスジャパンという協会があるのですが、マダガスカルの森林復元活動に参加希望の高校生をマダガスカルに連れて行こう、ということになっているので私が同行することが1番早いと思いました。

 

 

 

house原住民アンタンドロイ族の家。こんな所に日本人が行って大丈夫なのか?と心配になります。ちなみに家屋の建材は木本性多肉植物のアルオウディアプロケラ(Alluaudia procera)の心材が使用されているという貴重な1枚。

 

 

 

ーちなみにマダガスカルの治安や情勢はどのような感じなんでしょうか?

 

正直なところリアルタイムで状況が変わるので「よく分からない」ということしか言えません。私自身は危険な目に合っていませんが、合わないよう、現地での情報収集に気を使っています。

 

ただ、先進国や大規模な観光地と同じような感覚で旅行するのは危険だと思います。

 

例えばマダガスカルの現地のお墓の回りにはモリンガ・ドロウハディ(moringa drouhardii)という多肉植物が植えられていますがこの植物には近づかない方が無難です。

 

お墓の守人のような意味合いで植えらることが多く、一見バオバブのようにも見えますので興味本位で近づくとお墓の敷地内に入ることになってしまいがちです。

 

それをもし現地の人に見つかったら深刻な問題になります。外部の人間が、もっと言えば血縁関係ではない人間が敷地内に進入するとそれを牛の血を用いて清めるためです。

 

牛一頭、もしくは複数頭の血で清めるためその牛の代金を請求されます。物価の大変安い国ではありますが牛を複数頭はかなりの痛手となりますし敷地内に入られた現地人がどのような対応を取ってくるのか予測がつかないからです。

 

特にお墓の回りは禁忌の地となっており貴重な植物が豊富に残っている場合が多いのです。それらを見極めるためにはモリンガは逆に目印となりますので見つけたら近づかないのが無難でしょう。

 

 

moringaお墓の回りに植えられたモリンガ・ドロゥハディ(Moringa drouhardii)。非常に魅力的なボトルツリー形状なので思わず近くで見てみたくなりそうですが近づかないで下さい。

 

 

ー他の植物に関する情報などはありませんか?

 

日本でも人気の多肉植物アローディアなどは現地では木材の代わりとして使われるために大きな個体は特にですが数が激減し深刻な問題となっています(森林再生と深くリンクする部分)。

 

矛盾するようですが現地人は草木が邪魔な場合はすぐに火を付けて勝手な焼き畑をしてしまうんですね(ちなみに焼き畑は禁止とされていますがそこは「見つからなければ大丈夫」といういかにもな理由で焼き畑はなかなか減らないそうです)。

 

現地の人は日本人のように計画的に焼き畑をするわけではないので結果として自然の力で鎮火するまで燃やし尽くしてしまっています。

 

私たちが見たら中には貴重な植物も時には含まれますが彼らは「まだたくさんあるから大丈夫」という考え方なので現地人には「資源が無くなる」という概念自体が乏しいのが現状です。

 

 

あとユニークなのはユーフォルビアの活用法ですね。

 

例えば樹液の毒を魚毒として使って漁をします。使われるのはユーフォルビア・レウコデンドロン(Euphorbia leucodendron)で幹を傷つけて白い樹液を川に流し麻痺させて漁をします。

 

 

euphorbia_01川を塞き止めて樹液で行う漁。これで採った魚を食べたくないのは私だけでしょうか…汗

 

 

そして家畜のエサとしてもユーフォルビアが使われます。日本でもたまに見かけるユーフォルビア・ステノクラーダ(Euphorbia stenoclada)は牛のエサとなります。

 

一般的に毒性の強いユーフォルビアを食べるなんて信じられませんが平気で食べていますね。

 

 

euphorbia_02この牛のミルクや肉を食べたくないのは私だけでしょうか…汗

 

 

ー現地と日本でギャップを感じたことなどありますか?

 

有名なバオバブなどは良い例かもしれませんが日本人は「巨樹信仰」が強いと考えられているのですがマダガスカル人にはそういう考えが一切ありません。

 

あくまでもクワやブナみたいな”普通の木”の感覚なんですよね。大きいから大事にしているからというとそんなことはないし粗末にしているかというとそうでもない。

 

本当にただの木としか見ていません。ただ葉が食料や薬になるので生活に密着していることは間違いありません。

 

 

baobabバオバブをバックに現地の子供達と交流する若かりし頃の橋詰さん。

 

 

ーとても貴重な動植物が伐採や焼き畑、そして我々が趣向品として乱獲することに関してどう思われていますか?

 

私たちで言えば1番分かりやすいのがワシントン条約などがその大きな基準になりますよね。

 

当然ながら現地人にその話をしても通じませんし上記でもお話しした焼き畑の部分と通じますが「こんなに焼いたり伐採したら無くなってしまうよ」と彼らに言っても「まだたくさんあるから大丈夫」という考え方ですからなかなか伐採や焼き畑は無くなりません。

 

ただ、アローディアなどは材木や板などと同じように伐採され加工されているわけですが大きな材料となる巨木が無くなっていることには危機感を覚えているようです。

 

たくさんあるけれど使えるものが減っている、という感覚ですね。あくまでも貴重なものとかそういう観点では捉えていません。

 

彼らと私たちの植物に関する価値観は全く違います、例えば自生している奇怪な植物に関して彼らは特に何も感じませんが“そこにないもの”外来の動植物には非常に興味を示し特別に奇異な目で見たりします。

 

それは私たちがドクダミやヨモギを見ても何も思わないのと同じかもしれません。

 

 

baobab_02牛のエサにするために無残にも切り倒されたバオバブ、アダンソニア・ザ(Adansonia za)。無残という価値観も私たちの特有のものだと考える必要があります。

 

 

ーじゃあ現地に自生する植物、例えばパキポディウムなどを趣味として生育している人なんていないですよね?

 

これが面白い事にそういう人もいます。ただ、私が研究する南部の乾燥した地域ではなく例えばマダガスカルの中心であるアンタナナリボなどでは趣味家のような人も存在しています。

 

パキポディウムを庭やプランターに植えて鑑賞したり、ただ、それは基本マダガスカルの中でも一部の富裕層の人達だけなので希なケースと言っても過言ではないです。

 

後は厳密なことを言うと、山で採ってきたパキポディウムを所有することはWWFの規定では厳しく罰せられます。マダガスカル国内でも自生地を荒らすことに相当する行為は禁止です。

 

ちなみにパキポディウムなどの多肉植物を実生している人もいますが(マダガスカルの研究員の方もやられているそう)それは基本的に農家や研究者、あとは極一部の富裕層の人間だけだと思います。

 

ただ、そういった富裕層の人間が多肉を生育することとは別に、単純に花を愛でたり育てたりする習慣はどの街や村を見てもあるのでその辺りの感覚は世界共通と考えています。

 

 

 



 

 

ー諸外国の為の自生地の植物を山採りすることに関してはどう思われますか?

 

あまりにも公に、大量に自生地のものを採っていたらWWFが黙ってはいないと思います。CITESに属するものなどはそういった過去の歴史を物語っています。

 

ただプラントハンターや現地のナーセリーの人たちもその辺りは上手くやっていて一度山採りした植物をナーセリーで管理することによって「これは山採り植物ではありませんよ」と言う形を取っている場合もあるそうです。

 

私の立場ですと山採りの善し悪しを言う立場にありませんし山という資源をお金に換えることは決して悪いことではありません。

 

ただ採ったとしても“山の資源を減らさない”と言うサイクルがある前提、もしくはそういったことを作った上で山採りをするべきと考えます。

 

ちなみに人気のあるオペルクリカリア・パキプスなどは自生地にあるにはありますが趣味家が欲しがるような立派な樹形やずんぐりしたものは乱獲されかなり少ないです。

 

いかにマダガスカルという地であれど多肉植物が立派な樹形に育つのにはそれなりの年数が必要です。

 

特にオペルクリカリア・パキプスなどは痩せた石灰岩の土地に自生していますので樽のような、球形の様な形に育つまでは気が遠くなる年月がかかるはずです。

 

だから先ほど言った“山の資源を減らさない”というサイクルは成立していない、できないでしょうね。

 

それをさまざまなプラントハンター達が乱獲していたとしてもそこに対する個人的な想いはあったとしても立場上語るべきでは無いと考えています。

 

 

DSC02062中央に地植えされた枯れた葉が不気味な通称:巨人アロエ。アロエ・バオンベ(Aloe vaombe)。橋詰さんは特に「これ」という固有の植物が好きということは無いそうですが栽培場にもたくさんあったことやバイオリウム内でも幾つか見かけたのでバオンベに関しては好きそうな印象を受けました。

 

 

ー何か個人的に好きな植物などありますか?

 

「一つのこの種類が好きだ」という事は特にありません。私は研究者なので例えば1㎡四方の中に自生するいわゆる「同所性」、属や科が異なる植物たちの相互の関係性を調べて知る、と言うようなことが好きなのです。

 

同じ場所にいるのにどうやって種として独立をしているか、その場合開花時期をずらしてポリネーター(送粉者:花粉を運ぶ虫や鳥などの事を指す)との関係はどうなっているか、など。

 

 

DSC02078ポリネーターであるスズメガ、パキポディウムなどの花びらに高さがある花などはこう言った長い管を使って蜜を吸うそうです。

 

 

私が知りたいのはそういった同所性であるとかその中でどのようにお互いと繋がりその中で個として成り立つことが出来るか、それらが進化の過程で作り上げられる“関係性”を調べることが面白いのです。

 

パキポディウムなど「なんでわざわざ岩の隙間に生えてるの?」ってことありますがあれは逆に言えば他の植物が少なく日の光を取りあう生存競争が少なく「生きていく上で最適だった」だけとも言えます。

 

かといって少しでも場所を変えるとそれらの植物は全く生えていなかったりします。自生する場所にはそれらが生えるなんらかのトリガーがあるのですが同じ場所であっても一度採ってしまうと二度と生えてこないこともあります。

 

何が原因となってそのトリガーが崩れるかも今はまだ分かっていません。

 

 

 

ちなみに全然関係ありませんが高山性のパキポディウム・ブレビカウレ(和名は“恵比寿笑い”)などは自生地に行くと辺り一面ブレビカウレ、なんてこともあります。

 

歩くのに邪魔なので本音で言えば蹴っ飛ばして歩きたかったですし少し踏んで歩いたような… 笑。

 

 

 

 

雑記

 

研究者という立場の橋詰さんのお話しでしたので専門用語も多く読み解くのになかなか時間を要しましたがかなり密度の濃い記事を書けたと思っています。

 

一般の方が入場できる場所は展示室とバイオリウムのみですがそれでも「東京にこんなところがあるのか!」と驚かれることは間違いないと思います。

 

今回のインタビューの実現にはTOKYで取り扱う用土 best soil mixを販売するBANKS CollectionのCEOである栗田さまのお力添えがあったことをこの場でご報告と共に御礼を申し上げさせていただきます。ありがとうございました。

 

事前予約すれば橋詰さんがガイドを務めるバイオリウムツアーにも参加できますのでより詳細に知りたい方は是非ご予約をしてみてはいかがでしょうか?

 

 

DSC02076右が今回お話しを伺った橋詰さん。左の眼光が鋭い紳士がBANKS Collection CEOの栗田さんです。

 

 

DSC02038バイオリウム内に地植えされたバオバブ。橋詰さんは「内部が柔組織の水ぶくれの木」と表現していたのが印象的でした(多肉植物ですからその表現は正しいんでしょう)。

 

 

DSC02057バオバブの樹皮をめくると強烈に緑の肌が。いわゆる“木”との大きな違いで葉がなくとも光合成が可能です。

 

 

DSC02033人気のオニソテツもあります。これらも地植えにしたらかっこよさそうですがとんでもないことになりそうです。

 

 

DSC02042マダガスカルから南アフリカを廻ると今度はメキシコのブースが見えてきます。巨大なサボテンの奥には東京農大だけにアガベの“農大No.1”が鎮座しています!!

 

 

DSC02022バイオリウム内の人気者、通称:「イグアナさん」にご飯をあげる橋詰さん。

 

 

DSC02085かなり立派で近代的な施設となっています。

 

 

展示室とバイオリウムはどなたでも無料で閲覧が可能ですので是非行って見てください!!

 

・住所:〒158-0098 世田谷区上用賀2-4-28
・営業/開園時間:4~11月:10:00~17:00(入館は~16:30)、12~3月:10:00~16:30(入館は~16:00)
・休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、月末の火曜日、大学が定めた休日
・ホームページ:東京農業大学「食と農」の博物館・バイオリウム

 

 

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