製作中のmiamauaによるPseudobombax ellipticum(プセウドボンバックス・エリプティクム)の麻ひもぐるみ。
私たちは製作者であるアーティストtenさんの作るもの全てが好きで、新作を見るたびに心躍っているEverydayです。
今回プロトタイプで見せてくれたボンバックスは今までに無い価値の変換を感じました。
ボンバックスは基本はまん丸いフォルムのものが特に好まれるのが主流です。
自然に丸くなる個体も稀にあるようですが基本は人の手による剪定されたものが多くを占めます。
実物を目にした時に少し時が止まりました。
「あれ、この切り株みたいの、剪定跡?」
tenさん自身は植物の栽培にそれほど興味が無いそうなのでこの剪定跡の発想は極自然に生まれたそうです。
普段我々がボンバックスのチャームポイントである丸さにフォーカスするようにtenさんの目には切り株のような剪定跡がチャーミングに見えたに違いありません。
園芸の世界で言えば剪定後の残るものよりも年月をかけて後が消えて、丸くなったものの方が価値があります。
ですがそれは広くとも狭い園芸の世界の中の一つの価値観で、視点を変えてみれば美醜の価値も変わるということをこの麻ひもぐるみは教えてくれました。
完成された丸くカッコいいものは所有欲を満たしてくれますが、生育の楽しさでは途中経過の方が楽しいと思っています。
カッコいいとかクールということよりも、面白いとか楽しい方が、人は不思議なほど共感してくれる、この業界に身を置いてとても感じます。
とりとめも無い記事になってしまいましたが変わらない価値があるように、変わって行く価値もあっていいと思いました。
お店でお客さんと話したりSNSを見ていると皆一様に「良形良形!」となっていて、「あなたの本当に好きなものはなんですか?」と問いたくなったりします。
早く丸くなれ!と言わずに、選定した切り口もじっくりと愛でるような楽しみ方を私たちもしてみようと思います。
勿論剪定跡だけじゃなくて…。
誰にもできない発想と、緻密な作業の積み重ねなど、見どころ沢山のボンちゃんをよろしくお願いいたします。